吉田正高『二次元美少女論』(二見書房)

二次元美少女論―オタクの女神創造史

二次元美少女論―オタクの女神創造史

 よくぞここまでという膨大な資料を駆使して、1970年代以降の主にビジュアル文化(マンガ、アニメ、ゲームなど)に出てくる「美少女」たちの意匠を分類・整理しています。同人誌などをたんねんにフォローしているのがすごいですけど、かなり男の子文化に偏っているところが難点。っつーか、「オタクの女神創造史」というサブタイトルにあるように、「男オタク」の受容作品をカバーするとそうなるのかも知れませんが。あと、「論」というよりは「カタログ」としての価値が高そうです。現物をとにかく並べるというスタイルには圧倒されますし、分類の手際もすごくいいのですが、各章末の短いコメントが鋭いだけに、もっときちんとした分析を書いてくれればいいのにと思います。