読了:赤川学、『子どもが減って何が悪いか!』
- 作者: 赤川学
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/12
- メディア: 新書
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まっとうな見解、というか、第1章などは福島に住んでいる人間にとっては「何をいまさら」な話ですが。
福島は平均初婚年齢も低かったし、出生率も高かったし、ある調査によれば女性の労働力曲線はM字の谷が出てこなかった*1わけですが、それは別に「男女共同参画」が進んでいたからではなく(これには誰も異論がないでしょう)、単に都市化がこれまであまり進んでおらず、かつ三世代同居の割合が高かったから、ということだと思います。
ここ十年ほど初婚年齢は上がり続け、出生率も下がってきていますが、別に「男女共同参画」はとりたてて進んでいるわけではありません。後退……はさすがにしていないと思いますが。
ここ数年、「子どもはいらないと思っていました」というようなキャッチコピーのついた少子化対策パンフレットが高校生に配布されたりしているのを、けっこうわたしの周辺*2の人間は批判的な目で見ています。「フェミニズムは」「ジェンダー論者は」などと、またぞろ仮想敵を作っているようですが、あまりにも一般化するのはいかがなものか。状況が違えば立場も変わります。*3
彼がやっている家族調査などのデータの統計分析については、さらに素人のわたしには何も言えませんので、判断は保留。
基本的に、「男女共同参画は少子化問題とはかかわりなく進められるべきである。」という赤川さんの意見にも賛成。ただわたしとしては、「男女共同参画を進めつつ、かつそれが同時に出生率の維持・上昇も企図している」ような政策を否定はしません。また、「男性の育児参加奨励」なども、子育てについての負担が男女間で不平等と感じられていることの是正のために、過渡的対応策として是認されるべきと考えます。*4