母、こわいよ、母……

 いつき(ヲタで受験生な女子中学生)の母と夕暮れの街を歩きながらの会話。
 「今日あたり冬コミだねー。」
 「やっぱみんなコスプレとかしてるのかな、こんな寒い日だけど。」
 「うん、やっぱ基本でしょう。」
 「こないだハンズ行ったらさ、メイド服置いてあったんだよね。」
 「ハンズに? パーティの仮装用かなあ。」
 「そうかもね。で、いつきにあれ着せたらどんなかなーって考えちゃった。」
 ……母からの、この爆弾発言。
 「そんなに高くなかった。似合うと思うんだけど。ムチとか持たせて。」
 「……メイドのかっこでムチ?」
 「うん。うーんとたかびーなメイド。『ほっほっほっほっ、ひざまづくがよろしくてよっ』(ぴしっ)とかやるわけ。」
 ……なんか違う世界に逝ってるような気がしないでもないのですが。効果音付きですし。
 「いつきがおとなしく着るだろうか。」
 「やっぱモノでつるしかないんじゃないでしょうか。」
 「今だったらファフナーのDVD。」
 「それそれ。」
 「『ううっ、これを着ろ、着ろというのか、母よ、あなたという人は! でも、ファフナーのDVDのためならば! ええやりますとも。いつきは修羅になります!』とかBlogに書きそうだけど。」
 「書くかもねー。で、やっぱデジカメで写真撮って、売る。」
 「……なんだかそれって、援助交際やってる女子高校生にオヤジが『ねね、ちょっと写真撮らせてくれないかなあ。あ、これに着替えてくれる〜?』ってやるのに似てない?」
 「えー、そうかなあ……。」
 自覚がないところが何とも。
 こわいよ、母。
 ちなみにいつきに「母上がこんなことを」とチクったところ、「えー、やだー」と拒絶の姿勢を終始示し続けました。
 ……当たり前だって?
 そうかな? ……そうかも。
 そうだよね。