SL-C1000のクロックダウン

 以下は自己責任で行われるものであることをお忘れなく。また、CPUやマシンによる個体差もあるかも知れませんので、必ずしも書いてあるとおりにいくとは限りません。

■概要

 リナザウSLシリーズのCPUはクロック周波数の変更およびコア電圧の変更が可能です。
 前述のスペシャル・カーネルをインストールしていることを前提に、ぴろさんのBatteryPlusというユーティリティを導入すると可能になります。
 カーネルイメージ以外に必要なファイルは以下に置かれています。

 ぴろさんのページ:

■下準備――qlockchangeの導入とクロックダウンのテスト

 今のところBatteryPlusのデフォルトではクロックアップができるだけです。設定ファイルを書けばクロックダウンもできますが、どのぐらい可能なのかを調べておく必要があるでしょう。
 そこで、ぴろさんが別途開発しておられるqclockchange(上記サイトにあります)を、BatteryPlusと同時にインストールしてみます。qclockchangeはC3000用らしいのですが、わたしのC1000でも動きました。両ユーティリティのインストールおよび起動上の注意は、サイトの記述を熟読してください。
 ではまず、qclockchangeユーティリティを利用して、CPUクロックやLCDクロックをどのぐらい下げられるかをテストします。

  1. 画面の左下、一番下の段の「L」の数字を変更すると、システムバスとRunモードの周波数が変更できます。たぶん104MHzぐらいまでは下げられると思います。
  2. 次に「2N」の数字を変更します。これはターボモードの周波数を決める数字です。通常は「4」になっているのではないかと思います。一番下の段の数字を変更すると0.5倍きざみで、runモードとの倍率が決まります。たとえばここの数字を「4」にすると0.5×4=2.0で、runモードの2倍にターボモードの周波数が設定されます。2倍でもいいでしょうけど、低クロックの時にはもう少しターボモードの数字をあげたい、というのであれば、3倍ぐらいにしてみましょう。
  3. いちばん右の欄ではLCD周波数を決めます。システム全体が低クロックの時はここの数字を「1」にしておくといいかもしれません。

 数字を決めたら「Write CCCR」でシステムに書きこみます。クロックを大きく下げると、画面がちらつくかも知れません。また、設定した時はきちんと動いていても、ほかのプログラムを起動したりすると、固まってしまうこともあるかも知れません。タスクの切り替えにも時間がかかります。実は、とりあえず26MHzぐらいにしても動いてはいるようなのですが、腹が立つほどいらいらします。(笑)我慢できる値を探してみてください。わたしがクロックダウンの下限としたCCCRの値は「0A000208」ですので、ご参考に。(Runモード104MHz、ターボモード208MHz、LCD 104MHz)
 次にコア電圧を下げてみます。VCOREの数字を0にすると0.85Vになりますが、設定するとたぶんコケます(^^;)。0.9Vの設定ならおそらく大丈夫です。おかしくなったらとりあえずリセットかフルリセットしてください。数字を設定したら、「write vcore」で書きこむのをお忘れなく。なお、低クロック+高電圧は大丈夫ですが、高クロック(あるいは標準クロック)+低電圧はうまく動作しないことがありますので、クロックをあげる(または戻す)前には電圧も上げておいてください。
 さて、これでいろいろやってみて、使いたい設定を決めます。決まったら、CCCRとVCOREの数字をメモっておきます。

■BatteryPlus.confの設定

 /home/zaurus/Settings/ にBatteryPlus.confを作成します。ぴろさんによる解説も熟読してください。次は設定例です。

Battery_Mode
Hi-power, 02000214, 0d, ,
Normal, 02000210, 09, , STD
Long-run, 0A000208, 01, ,
AC Mode, 02000214, 0d, -1,
Battery Full, 02000210, 09, 100,
Battery Low, 0A000208, 01, 25,

 confファイルを作成・変更したら、ターミナルから「qcop QPE/TaskBar "reloadApplets()"」でBatteryPlusを再起動しておくことををお忘れなく。
 簡単に解説すると、「Hi-power」は高速駆動です。クロックアップ+電圧アップをしています。「Normal」は通常モード。一般的なバッテリー動作のクロックです。最後のところに「STD」とありますが、これは標準ではこのモードであるという指定です。「Long-run」はバッテリーをもっとも節約するモード。なお、「Battery Low」でバッテリ残量が25%になったら自動的にこのモードにはいるように設定してあります。この設定は、BatteryPlusを動作させている時に、「BatteryMode」にチェックを入れると有効になります。さらにACにつないでいるときには自動でHi-powerになるようにしてあります。
 先ほどメモっておいた数字を適宜あてはめて、この設定ファイルを書き換えればいいわけです。クロックアップしたい人はそういう設定を作ります。クロックダウンして長持ちさせたい場合には、これまたそういう設定を作ることになります。
 クロックダウンはあまり問題ないかも知れませんが、クロックアップはCPUや周辺回路の寿命を縮めるかも知れませんね。発熱の問題もあるかも。ということで、わたしは基本的にはクロックアップしての通常使用はしないつもりでいます。(ですから、上記の設定はわたしのC1000の設定とは違うものです。)

■試してみて

 クロックアップのテストをやってみたら、見事にバッテリ消費が激しくなりました。みるみるうちにインジケータの表示が減ります。(笑)
 逆にクロックダウン(上記設定例のLong-run)状態では、たしかにバッテリの持ちはよくなったと思います。ただし、かなり画面がちらちらしますので、文字の読み書きを続けると目が疲れるかも知れません。音楽を聴いている分にはいいでしょうけど。

■追記

 X/Qt、アンインストールしました。
 Long-run設定だとやはり見にくいので、NormalとLong-runの中間に「Medium」の設定を追加しました。(CCCR:0200020C、VCORE:1.0V)