今日のこととか

 何でまた寒い中をヘルニアン*1が出歩いていたかというと、県のお仕事(男女共同参画審議会)があったから。なぜか審議会副会長・男女共同参画プラン見直し部会長とかいう役職が当たっていますもので、おいそれと欠席できません。
 昨年は10年計画の中間年に当たっていたので、5月からずっとプランの見直しをやってきました。部会長とかいうとカコイイ!とか思う人もいるかも知れませんが(いないですね、すいません)、まあ意見の調整役というかなだめ役というか……です。
 いちおう見直し作業は、今回の審議会で終了、ということになりました。あとは文言等の微調整。
 今回の見直しの目玉は、全体の再構成、重点項目の選定、評価のための指標の見直し、の3つ。具体的な施策はここでは示しませんが、人権教育(ジェンダー平等や女性への暴力の防止など)、男性の家事・育児参加の促進、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、女性のエンパワーメント(特に労働・経済面)を重視した内容になっています。すでに県内三方部で公聴会を開催済み。パブリックコメントも受け付けていたはずです。
 ただ、具体的に施策をおこしてみると、どうしても「意識啓発」だとか「広報」だとかが多くなってしまいました。この点は斉藤正美さんのブログで指摘されている、行政の問題点そのまま。不満がまだ残る点です。
 もちろん「意識啓発」がまったく無意味ということではありません。たとえばDVについての県レベルの調査を今回やっているのですが、その結果から「福島県民は全国に比べてさまざまなDVの形態をDVと認識する度合いが低い」ということがわかってきました。DVがDVとして認識されなければ、被害を受けていても相談にもこないかもしれません。だから、「こういうことをしたら・されたら、それはDVだよ」という「意識啓発」は、県レベルでも取り組むべき重点課題です。もちろんDV対策はそれだけではだめで、シェルターの設置とか相談窓口の常設とか法律相談、自立支援……さまざまなものが必要ですが。
 同様に「意識調査」も斉藤さんのブログで批判されていますが、これも必ずしも捨てたものではないと思います。上の例でおわかりの通り、さまざまな施策へ活かすことができれば、それはそれで意義があります。プラン見直し部会での議論でも、さまざまな調査をやってそれを施策立案と実施に活かし、評価し、新しい次の段階の施策立案を目指すというサイクルを行政の中に定着させることが必要である、という話が出ました。プランにもそうしたサイクルについては、施策の一つとして書きこまれています。
 福島というのは、ある意味非常に保守的な土地柄であることは間違いなく、最大の問題点は、その中で革新的な力を持ちうる*2最大のアクターが行政である、ということかもしれません。それでも、わたしが福島に来て11年目ですが、都市部では市民活動の実績をわずかなりとも蓄積できてきたかと思います。福島県の条例は「福島県男女平等を実現し男女が個人として尊重される社会を形成するための男女共同参画の推進に関する条例」というなんだか妙に長ったらしい題名ですが(笑)、「男女平等」という文言が入った珍しいものです。これも、必ずしも行政主導ではなく、市民参加で基礎をつくったものです。デートDVについてのパンフレットも、福島DV研究会という市民団体がつくりました。(行政も男女共生センターを通じて金銭的な援助をしています。)
 わたしもこうした一連の動きの中で、1996〜97年頃の福島市の公共芸術批判以来、ずっと行政にはきびしいことを言い続けてきたのですが、なぜかあちらはずいぶんとオトナでいらっしゃって(笑)、こういう人間も審議会のメンバーに入れてくださりました。(いや、自分から進んで入ったわけじゃありませんが。)でも今回の見直し作業ではわたしより手厳しい人がいたものですから、わたしはなだめ役になってしまって、ちょっと残念です。(笑)うまいことやられたかな。
 一つこれで仕事が終わったという感じですが、もちろん地域のさまざまな問題が解決したわけではありません。でもまあ自分としては、大学という場で市民を育てていくという「本業」「原点」の比率を、もっと自分の中で高くしたいという気分ではあります。

*1:ヘルニアをかかえている人のこと。「ボヘミアン」みたい。(だから何だ。)

*2:持っている、ではありません。