木村凉子編、『ジェンダー・フリー・トラブル』、読了

ジェンダー・フリー・トラブル

ジェンダー・フリー・トラブル

 第8章・第9章。性教育に関する2章。
 第8章は東京都の性教育バッシングから出発して、国レベル、世界レベルの話へと展開。第9章は、日本戦後の性教育の歴史をたどる記述になっている。やや角度は異なるが、合わせて読むことで問題が立体的に把握できるだろうか。
 既出の論考を集めた部分もあるが、緊急出版としてはまとまった印象を受けた。ベーシックなところをおさえており、基礎知識の整理には役に立つ。
 ただ、ターゲットとしてどのあたりをねらうつもりで、そのターゲット設定に対してこの本のあり方が適切だったかどうか、というところではやや疑問もある。(単行本で1800円というあたり。)「はじめに」の終わりで書かれているような層にねらいをつけているとしたら、「何が起こっているのだろうと関心をもっている」層がこの価格設定でどのぐらい買ってくれるかということなのだが。
 もちろん、出版社や著者としても精一杯の努力の結果なのだとは思うけれど。
 ……つーか、この値段にしちゃうと、学生、買ってくれないんです。(泣)