ブレンダ読んだ

ブレンダと呼ばれた少年

ブレンダと呼ばれた少年

 デイヴィッド・ライマー自身はインターセックスDSDではないが、話の焦点は明らかにDSDの子どもの身体に対して、本人の意志が固まらないうちに手術を繰り返しおこなっている現状を告発することにある。これはmacskaさんのインタビューで、著者コラピントが述べているとおり。
 デイヴィッド・ライマーは一時期女性として生活していたことがある。そのときに感じたことを次のように述べている。

 女の人は気の毒だと思うよ。おれもいっときはその経験をしたからわかる。(中略)おれがまだ子供のころ、女の人たちは男女同権を求めて必死に闘ってたよ。『いいぞ、その調子』だっておれは思った。そう、おれはある意味で、身をもって感じたんだ。社会における女性たちの立場をね。どん底だよ。

 もちろん彼の経験は、階層的・地域的立ち位置と密接に結びついているが。
 その経験から、彼はこのようにも語る。

 連中はいつも、やっぱり世界は男で回ってるっていうお決まりのたわ言を吐いてるよ。自分は家庭のなかのボスだと言わんばかりにね。連中はおれを見て、『おまえんちのボスはだれだい?』って聞いてくる。おれの答えはいつもおんなじさ。
 『いいか、おれんとこはふたりして協力しながら生活してるんだ。妻はおれのパートナーさ。(後略)』