読了

走れ、真実への細き途 幻獣降臨譚 (講談社X文庫)

走れ、真実への細き途 幻獣降臨譚 (講談社X文庫)

 うーん、なんというかいろいろ不全感が残る読後……。
 ハイ・ファンタジーは世界構築をすることが重要なわけですが、(とりあえずの)物語の大きさによっては構築する範囲を限定したり、「お約束」に頼ったりすることもあります。どうもこのお話は、そのあたりの力のいれ加減が不器用。(けなしてるわけではありません。)
 たとえば、あれだけの長さと地理的範囲の広さを持つ「グイン・サーガ」も、当初は「ノスフェラス」という辺境地域の設定だけでやっていたのですよ。で、話が拡大していくにつれて中原だのキタイだの、新しい設定が追加されていった。当然矛盾も出てきます。(最たるものが、モンゴール辺境地域の気候に関するもの。最初はなんだか亜熱帯っぽかった。)
 ただし、いちおうストーリー的には辺境編は完結していたし、辺境の設定もそれに適合していたので、読み手は比較的安心して読めていたように思うのですよね。
 だけどこのお話は、まだストーリーが一区切りもつかないうちに(だって光焰これまでなにしたってよw、今回だってあくびぐらいしかしてないし←暴言)、新しい内容が次から次へと追加されてくるので、めまぐるしくてなかなか落ち着けない。なのにこの巻の最後では、もう別な国とか地域へ話が移っていきそうで。
 これをうまくまとめて、作者と読者が納得できるようなオチをつけるのは大変なんじゃないかあ。まあ、腕の見せ所ではありますが。