読了:ラブホ本

ラブホテル進化論 (文春新書)

ラブホテル進化論 (文春新書)

 取材たいへんだったな、と思わせる本。もっとも、ここに書かれてないことのほうがおもしろそうだけど。

 興味深かった点は:

  1. 男性のセクシュアルな関心先行でさまざまなラブホテル独特の「アイテム」が生まれたが、それがもう一方のユーザである女性からすると不快なものだったりすると、結局は定着しないということ。たとえば透明な浴槽とか。逆に女性が好むもの・「ふたりで楽しめる」ものはポイント高いらしい。
  2. 最近高齢者の利用が増えていること。年金支給日の翌日にはどっとくる、というのには、思わず吹いた。(新幹線の車内だったが。)よっぽど楽しみにされているということなのだろうか。セックス目的ということ(だけ)ではなく、一種のくつろぎの空間として利用されている側面もあるとか。

など。まだあるけど、写すのが面倒なのでこの辺で。


 それにしても、「ラブホテルは日本の文化!」みたいな出版社のウリ文句は、いかがなものか。(まあ文春だからといえばしょうがないともいえるけど。)たしかにこういうタイプのホテルは日本だけのものなのかもしれないが、そんなに「日本だけ」みたいなことを強調しなくてもいいように思う。十分おもしろいものはおもしろいしな。つーか、この国(というくくりかたも好きではないが<地域性無視してるし)というのは、「日本やるじゃん!」(帯裏表紙側のコピー)みたいにわざわざ言ってやらないと、ダメなのか。そうなのか。

つーか、本書で述べられているとおり(p.119)、ラブホテルを経営している層に他府県出身者や在日外国人が多いなら、「よそもの」やマイノリティ(だけではないのだろうが)が作り上げてきたのが、「ラブホテル文化」だということになる。つまりそれは、「日本」とひとくくりにされるものの中の「差異」が支えてきたわけだ。それをなんだか一つにまとめて「日本」のものとしてしまうなんて、ずいぶんと都合のいいことではないか。