読了

科学者として生き残る方法

科学者として生き残る方法

 基本的に自然科学分野の研究者向けの本なので、自分にとっては別段実用的というわけではないし、それを目的として買ったわけでもない。まあ、おもしろそうだったから。
 読んでいて、著者二人(特に若いフェデリコ・ロージのほうではと思う)のユーモアあふれる筆致が印象に残った。たとえば、「仕事は整然と」(2・8・1、pp.89-91)の項で、「あらゆることに関して経緯を記録しておく」「いくらアドバイスしてもしすぎることがないのは、仕事を整然と秩序だったかたちですすめることの大切さだろう」と述べた後で、注記に、


 それは確かにそうなのだが、もし読者の誰かが私たちのオフィスを目にしたら、ひとしきり笑った後、私たちのはなしなど、二度とまじめに聴いてはくれなくなるだろう。少なくとも空間秩序の話題に関しては…。

と書いてあったり。たぶん事実なのだろうから、なおさら笑える。
 訳文も読みやすい。一つだけ気になったのは、括弧と句点のくみあわせで、たとえば、


 ……ということを念頭においておいた方がよい。(フェデリコの議論は、ここで終わり)。

という表記(下線部分)が頻出すること。見慣れないので、ちょっと違和感を覚えた。
 あと、どこだったか、原文を参照できないので何ともいえないが、「しかし」と逆接でつながっているところに「あれ?」っという感じを受けた。なんとなく、"not only 〜 but also"っぽい構文なんじゃないかと。

■生き残るための基本原則

 なお、著者たちが主張する、「科学者として生き残るための基本原則」とは、次のようなものである。(pp.16-17)

  • 第ゼロ法則「自分のキャリアに関心をもて」
  • 第一法則「汝、おのれを知れ」
  • 第二法則「汝、基本スキルを身につけよ」
  • 第三法則「汝の隣人を知れ」

 詳しくは本書で。