大塚英志『大学論』
そういえば、読みかけだったよな、と思い出して、最後まで読んだ。
- 作者: 大塚英志
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/03/18
- メディア: 新書
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現在、大学教員でもある大塚氏が、自分自身が大学で何を、どう学んできたか、そして今何を、どのように教えているかについて語った本。
大塚氏は神戸芸術工科大学芸術学部のまんが表現学科(この本で語られているのは、前身のメディア表現学科まんがアニメーション専攻)で教えているわけだが、もちろん彼はマンガ家ではないし(マンガを描いていた経験はあるらしい)、マンガの描き方を教えているわけではない。むしろ彼が教えているのは、映画表現の手法や物語論。これについてはいくつも著作がある。
学生指導の様子などはライブ感たっぷりで読ませてくれるし、「表現すること」についての彼のこだわり(第三章)は、現代メディアやポピュラー文化に関心のある人であるなら、一読の価値があるだろう。
個人的に共感したのは、「大学で教えること」がおもしろいのは「教え方」や「カリキュラム」そのものから「つくって」いるからだ、というあたり(p.80)。これは自分も感じたことがある。2000年に始まった新しい科目では、まさに何を教えたらいいのか悩み、カリキュラムを考え、さらに「どう教えるか」のアイディアを練ったからだ。
まあ大塚氏とわたしが違うのは、大塚氏はすでに4年(第一期で入学した学生が卒業するまでの1サイクル)で興味が失せてしまってきているのに対し、大学で定年までの計35年(予定、2000年からだと30年)の間、一度開発したカリキュラムと手法をいかに保たせるか(教授法の洗練や内容のアップデート、部分的な入れ替えによって)という方向でわたしは考えてしまっているというあたりだろうか。そのあたりが「ココロザシ」の違いであるのだろう(たぶん)。
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