コース入門科目・落合恵美子「ビジュアル・イメージとしての女」 

 今回のテキストは落合恵美子「ビジュアル・イメージとしての女―戦後女性雑誌が見せる性役割」(女性史総合研究会編、『日本女性生活史』、第5巻・現代、東京大学出版会、1990年に所収)。

日本女性生活史〈第5巻 現代〉

日本女性生活史〈第5巻 現代〉

 論文全体構成の把握はだいぶできているようだ。というか、このぐらいの素直な構成の論文ならできていて当たり前でないと困るのだが。まあ、最初は論文の構成を考えながら読む、ということを思いつきもしなかっただろうから、意識的に読めるようになったのは重要なこと。
 あとは内容だが、男子学生にはなじみがない素材(女性雑誌の分析)だったので、とっつきは悪かったかも知れない。取り上げられているのは『主婦の友』『女性自身』『non・no』だから、必ずしも女子学生だからなじみがあるというわけでもないが。『non・no』も購読率は以前に比べると下がっているように思う。コース入門科目には11人(女性8人、男性3人)しかいないので、彼女たちに訊いただけで率がどうこういえるということはないのだが。(レポータは宝島社の『mini』をよく読んでいるそうだ。「どういう雑誌?」と訊いても返答は要領を得なかったが、ストリート系のファッション雑誌らしい。)
 落合さんの分析の対象は1980年代後半までのものなので、今からするとけっこう「昔のこと」になってしまう。特に若い学生からすると、まだ自分が雑誌などを読み始める以前のことになるので、実感をともなった理解にはいたらないだろう。いちおう補完するものとして、1999年に書かれた卒論の要旨*1を資料として持っていった。「女の子」というタームを切り口にしての1998年1年間の『non・no』分析だが、これももう古くなりかかっているんだろうなあ。
 なお、来年のゼミ所属の1次選考結果が発表になって、ほとんど全員の所属ゼミが決まったようだ。(決まらなかった学生は2次選考に回る。)比較文化論(アメリカ研究)が3人、地域教育論が2人、考古学が2人、社会教育論が1人、といったところ。あと社会福祉論が1人。(欠席者がいるので全員分はわからなかった。)わたしは来年度はゼミ生の新規募集をしないので所属者はいないが、ちょっとさみしい気にもなった。

*1:若林恵子、「メディアに描かれる女の子像――『non・no』はどんな少女を描きだしているか」。http://myriel.jp/june/seminar/s98-genzo.html