要/水島、『風俗嬢意識調査』

風俗嬢意識調査―126人の職業意識

風俗嬢意識調査―126人の職業意識

 セックスワークの非犯罪化について、長年地道に取り組んでいる要友紀子さんの調査報告書。いわゆる「非本番系」風俗の女性たち126人の調査をまとめたもの。
 東京および横浜での調査ということで、その他の大都市圏、あるいは地方都市だとまた違った結果が出るかも知れないが、これはもう調査を積み重ねていくしかない。
 大学生のアルバイト観との比較が興味深い。ただ、学生にとってはあくまでもアルバイトは「アルバイト」であることが多いだろうから、風俗で生計を立てているような人たちを含むデータとの丸ごとの比較はどうだっただろうか。
 本書の冒頭部分から、一節を引いておく。(pp.8-9)

 売買春について交わされる議論の多くについて、私は、「一体、どういう経験や見聞から、風俗のことをどう理解してそのような考え方に至ったのか」というところが疑わしくてしょうがありませんでした。
(中略)
 もし、従来のような売買春論議が、セックスワーカーの現実や思いと全く無関係に、「自分の理想(幻想)のユートピア」を目指して語られているのだとしたら、これほど愚かなことはないと思います。
(中略)
 この風俗嬢意識調査結果が世に出たとたん、従来のような売買春論議の性質が一変するというような事態を想定しているわけではありません。ただ、「風俗嬢っていうのは概して……」とか、「風俗の仕事というのはこういうものだから……」といった、今まで信じられていた風俗にまつわる物語は、もう自信を持っては語られなくなるでしょう。

 いずれにしても、やっと日の目を見たデータである(調査期間は1999年〜2000年)。広い反響があることを期待している。
 ところで、気になったことが一つ。この本にはしおりひもが2本ついている。紫とピンク。なぜ??

■関連URL

 SWASH(Sex Work And Sexual Health)のWebページ。

 要さんの調査日誌。メインのページは、最近更新されてない?