沢山美果子、『性と生殖の近世』
- 作者: 沢山美果子
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2005/09/01
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
ここでハマってはならないと強く言い聞かせつつ、第四章、第五章、第六章とものすごいスピードで読み進む。
- 第四章 捨子の実像
- 第五章 捨子の運命
- はじめに――捨子への視点
- 1. 捨子への対応
- 2. 捨てられた子どもたち――城下町と農村
- 3. 捨てた親たち
- おわりに
19世紀前半の津山藩(美作国)では2歳以上の捨子が半数以上を占めことから、育てる意思がないことによる遺棄ではなく、凶作その他で育てきれなくなっての遺棄であると結論づけられている。以前なら共同体でこうした子どもを保護することができたかもしれないが、この頃の西日本では共同体的紐帯が弛緩し、個別家族の自立が進んでいる。それは同時に、個別家族によって庇護を受けられなくなった者、特に子どもや若い女性が、従前とは異なった扱いを受けることにつながる。
ところで、ここから著者が主張するのは以下の点である。(245ページ)
そこには、近代の母親たちを強くとらえた、産んだ母親が自らの身を犠牲にして献身的に子育てをすべきという観念も、また自らの子を自らの乳で育てるべきという観念もみられない。
つまり、近代的な意味での「母性(愛)」が未だ成立していない、ということである。
- 第六章 性と生殖の規範化
- はじめに
- 1. 近代家族の自明性への問い
- 2. 近世における〈産む〉身体をめぐるせめぎあい――支配層・共同体・家
- 3. 性規範をめぐるせめぎあい――性・生殖・婚姻への介入
- おわりに――近世から近代への見通し
BGMは西村由紀江『Moon』。