気分転換

ポケットの中の野生 (今ここに生きる子ども)

ポケットの中の野生 (今ここに生きる子ども)

 新潮文庫からも出てる。(ISBN:4101290121

■プロローグより

 全部ひきうつすのはつらいので、要約です。

 ポケモンのコンセプトは、「かつてあったもの」――少年たちが野や川で虫や小動物をとらえたり、観察したりしながらしていたこと――を、ゲーム機の中で再現してやることだ、と田尻智*1は語っている。(p.13)
 この「時代や環境によっては変わらない、子どもたちにひそむ衝動」は、レヴィ‐ストロースが「野生の思考」と呼んだものである。(p.14)

野生の思考

野生の思考

 絶版にはなっていないもよう。(1997年時点で24刷とか。)

■第1章〜第2章

 フロイトラカンの話。「Fort-Da」と対象a対象aって『エクリ』のどこに出てきたっけ。


うあ、「対象a」ってはてなキーワードになってるし。

よみがなは「たいしょうえー」だけどなw

■第3章

 ゲーム世界は均質化されていない。そこかしこに「ひだ」が、ダンジョンなどのかたちで存在し、対象aが出現する。(p.62)


もちろん通常のフィールドでもモンスターは出てくる。その場合は、未だ知られざる空間――ただし、冒険を続けることで、どんなモンスターが出てきて、その力はどの程度なのかがわかるため、既知の空間に変容する――が対象aを発生させると考えてしまえばよいか。

 そしてラカンのこの図式。

◇ a (抹消線は原文では斜線)


 ところで、「計算できるもの」としてのゲーム性と対象aの位置関係はどうなっているのか。対象aは「ゲームシステム」に組み込まれているといってよいか。計算されるが、計算をはみだしていく効果を持つということで。少なくともシナリオの次元ではないはず。

■以下

 ポケモンのゲームシステムが、現代社会の中では制御が難しくなってきている対象aをコントロールする志向を、子どもの心に植えつけるようなものになっているというお話。

  • 第5章 今日のトーテミズム
  • 第6章 ゲームの世界の贈与論
  • エピローグ

*1:ポケモンのデザイナー。