アラン・ケイ インタビュー

 「後藤貴子の米国ハイテク事情」(PC Watch)より。
 なお文中のローズは、Squeakプロジェクトのキム・ローズ(心理学者)。

──科学的思考力に文化差や男女差はあると思うか。

ケイ:特定の文化とは関係ない。先進国ではどこでも科学に興味が持たれる。ノーベル賞受賞者には西洋人が多いが日本人もいる。現代数学や科学的思考法は世界のどこの子供にも教えられる。
 性差については、11〜13才くらいでは、(Squeakの遊びツールである)eToysについて見ていると、女子は男子より若干能力が高い。これは数学でも同じだ。大きな問題は、女子は十代になると数学をやめる傾向があることだ。

ローズ:eToysでも違いは見える。女子は(eToysでクルマの)ペインティングに時間をかけ、男子は早く描いてしまって、もっとクルマを作ったりもっと速く走らせたりしたがる。

ケイ:一番よくできたプロジェクトを見れば性差はほぼない。'50年代には米国のほとんどのプログラマーは女性だった。'60年代初め私がプログラミングを始めたとき、私のボスは女性だった。'50年代にプログラマーの職業としてのステータスが低かったためだ。

──性差は社会的なものということか。

ケイ:ほかの要素もあると思う。Squeakが女子に興味を持ってもらえる理由は、Squeakが大学などで使う標準的言語よりメカニカルな部分を減らしてあるからだろう。我々はさまざまな子供たちがさまざまな方法でシステムに関われるように注力した。Squeakはある意味、よりソフトなのだ。女性は男性と多少違うものや環境に興味を持つ。プログラミングには同等に興味があってもセッティングは男性と違う必要がある。
 プロジェクトが抱える最大の課題の1つは世界の女性の教育だ。なぜなら子供は父親より母親と過ごす時間のほうが多い。そのため母親が知っていること、考えることは、父親のそれより(子供への影響として)重要だ。このことには我々は非常に関心を払っている。

──世界中の未来の大人が科学的思考を学ぶことが大事だと……

ケイ:子供が科学で学ぶことの1つは、けっして物事を2つのカテゴリーに分けてはいけないということだ。一見すると、イエスとノー、正と誤に分けなければならない場合であっても。人間の神経システムは、物事を2つのカテゴリーに分けようとする。あなたと私、黒と白、善と悪。これは決定を早くする方法だ。だが科学では、あなたは3つに分類できないか5つはどうかと常に問う。多くのカテゴリーには名前もない。だからこそ難しい。(以下略)

 強調は引用者。アラン・ケイジェンダー観はともかく、プログラマという職業をめぐる証言は興味深い。もっともこのときの「プログラミング」は、現在のプログラミングの作業とは異なる可能性大。誰かプログラマ・SEという職業の性別職務分離について研究してないかなー。

 なお最後の部分、「男と女」に分けようとするのも(ry*1

*1:というのはネタです。念のため。