読了

搾取される若者たち ―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)

搾取される若者たち ―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)

 こういうフィールドワーク本は読むのが楽しい。

高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)

 おおむね納得できる内容。ただしいろいろと粗い。たとえば「特任教授」(ところどころ「特認」と記されているが)は運用がまちまちで、要は正規の「教授」ではないというぐらいのものだ。報酬付きとか研究費がある(多くの場合はプロジェクトに関するものだと思う)ものから、ただの名目的なポストにいたるまで。といっても、どういうタイプが主流かはわたしにもわからない。
 わたしが大学に入った1980年代半ばにも、すでにここに書かれているような構造は存在した。わたしたちも大学院にはいるときには「入院」といって、要するに「ビョーキのようなもの」だと自嘲していたし、「転地療法(留学のこと)が必須のヤツもいる」とか、「人生」を「院生」に替えた替え歌を作ってカラオケで歌ったりしていた(中島みゆきの「Maybe」でやってみてください)。「司法浪人(が司法試験に受かる*1)より(専任の職にありつける)率は高いでしょ」と人から慰められたりもした。留学してPh.Dを取ったのに就職がなくて、もう一度マスターから国内でやりなおしている人もいた。わたしだって、宝くじに当たるような運で(実力ではない。コネでもないけど)、たまたまポストにありついたというのが正しい。高学歴WPは人ごとではない。

*1:旧制度下の話です。念のため。