読了『他人と暮らす若者たち』
- 作者: 久保田裕之
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/11/17
- メディア: 新書
- 購入: 5人 クリック: 102回
- この商品を含むブログ (40件) を見る
「今年の3冊」に数えたときにはあげなかった理由だが、興味深く読んだ一つの理由は、わたし自身が「家族以外との共同生活」を間欠的に実践しているためでもある。
つまり、週末は東京の「自宅」にいるわけだが、ここには現在のパートナー(住宅の共同購入者でもある)とその子ども2人(年齢的にはほぼ成人)が居住している。パートナーは性的関係も含めて配偶者、つまり家族に準じる存在といえるかもしれないが、パートナーの子ども(血縁関係も法的関係も不在)は必ずしも家族とはいえない。親密さは感じても、それは「パートナーの子ども」であるからであって、「家族だから」ということでは必ずしもない。(わたしから見てもそうだが、相手からもそうだろうと思う。)久保田さんが本書でいう、「他人と(旧来的な意味での)家族との中間的な存在」である。
問題は、わたしにとって東京の「自宅」は、「家族以外との居住を行う場」であるのに対して、パートナーの子ども二人にとっては同じ空間が、まず第一に「家族との居住の場」であり、そこに「家族以外との居住」が周期的に食い込んでくる、という非対称性である。したがって、両者の経験は等質ではない。感覚も異なるはずである。おそらくは、そのあたりから「困難」が発生している。(家族と暮らしていると、家の中全体がいわば「二次的にプライベートな領域」*1であるのに対して、わたしからは、リビング・キッチン・バスルーム等は「パブリックな領域」であるという差異。)
もちろん、「困難」ばかりではないことは、言い添えておきたい。
(167)
*1:性的・身体的な部分を除外した私的領域、というような意味で述べている。