読了『秋田禎信BOX』第2巻

秋田禎信BOX

秋田禎信BOX

 第2巻は「エンジェル・ハウリング」シリーズのふたりの主人公、ミズーとフリウのその後の物語(+α)。
 「魔術士オーフェン」では、世界創成の秘密や隠された歴史と、主人公たちの活躍とが密接に結びついており、ストーリー展開とともに世界のありさまが読者の目の前に啓けていった。それに対してこちらのシリーズは、歴史や地理上の空白が多く、必ずしも世界設定のすべてが明らかになっているわけではない。たとえば精霊とはいったい何かも、十分明らかとされているわけではない。
 それゆえ、第1巻でのような裏設定の開陳などはおこなわれず、主人公ふたりの人生の、その後のエピソードの紹介に終始している。
 ミズー篇はまあそこそこ楽しめる。フリウのほうは、若干盛り上がりに欠けるというか、破壊精霊の力を限定的な形で使用することに慣れてしまった(つまりはコントロールの方法を身につけた)がゆえに、ファンタジーらしさが弱まってしまった感がある。
 人精霊フィリーのぶっとびぶりも、ややひかえめになっただろうか。あくまでも「後日談」の域を出ないのが残念。

(4)