Fukushima 8 - A letter from our past -

 行政政策学類教員の久我和巳さんが字幕翻訳を担当された「Fukushima 8 - A letter from our past -」を見てきました。福島県内の一般家庭や会社の8ミリ映写機で撮影された映像800本あまりを、県の事業でデジタル化した際の副産物です。
 8ミリフィルムは劣化で1960年代のものはそろそろ限界と言われています。福島県では県内の映像を集めて、アーカイブ化しようということで、震災前から作業を進めていたとのこと。映像はすべて1930年代から70年代までの、一般の人の手によるものです。アーカイブは県立博物館に収蔵されているそうです。
 また、同時に楽映舎という会社に依頼して、ムービーコラージュの作成をしていました。途中で震災が起こり、編集方針も大きく転換したとか。できあがったものは、昨年の会津でのこども未来映画祭で40分ほどの「作品」として上映されました。題名は「フクシマ・モノクローム」(注:カラーフィルムもあります)。人々の「笑顔」に焦点を当てた作品に仕上がっています。
 会津の映画祭では浜通りからの避難者も多く、上映会場で号泣する人もいたとか。「どうしたらいいのか、わからなかった」と楽映舎社長の前田さん。今日一緒に観ていた中にも、福島県沿岸部出身の学生さんがいて、「海水浴の映像は見ていて、こんなふうにまた家族で海で遊べるようになるんだろうか、と複雑な気分で……」と語っていました。
 60年代後半に福島市で生まれた同僚は、終わった後で、「たぶんわたしはこの映像を見て、その文脈がわかる一番下の世代」と言いました。それより年上なら、どこかに見覚えがある光景が映っていたでしょう。
 「ぜひ、世界の人に観てもらいたい」ということで、今年のカンヌ映画祭に出展します。今日観たのは、会津で上映したものを再編集して、15分のショートムービーにまとめたもの。英語字幕つき(ここで久我さんの出番)。
 ナレーションは、福島市出身の梅沢富美男さんにやっていただいています。楽映舎さんからお話を持って行ったところ、「自分なりにやらせてくれるなら、やります」とおっしゃったとか。スタッフ作成のシナリオを活かしながらも、福島のことばを巧みに入れ、自然な感じにまとめられていました。
 今日は楽映舎社長の前田さんも大学に来ていらして、お話をうかがうことができました。前田さんは4年前から福島に通い始め、今年4月からは「映画を撮るために」と、福島大学大学院地域政策科学研究科に入学されます。カンヌ映画祭は5月。どういう評価を受けるでしょうか。

■追記(8/20)

 本選(というのでしょうか)には残らなかったとのこと。