コース入門科目本格始動

 今日は中内敏夫『新しい教育史』(新版、新評論)の序論の「一」のところを、90分かけて読んでいきました。

新しい教育史―制度史から社会史への試み

新しい教育史―制度史から社会史への試み

 ゼミで学生が報告しているのを聞いていていつも思っていたのですが、一見要領よく文章をまとめているように見えるのですが、実は大きくはずしているというようなことが多いのです。今回のコース入門科目では、文章に何が書いてあるかだけではなく、文章をどう読んでいくかというような方法論的問題も合わせて教えていくつもりです。(もっとも、それほど時間をかけるわけにもいかないので、基本的なことを確認するだけですけど。)できれば、文章の読み方を突き詰めていった先に文章の理解があるというような、そういうかたちのゼミにしていこうと。ここまで書くとちょっと大げさかな。

 で、今日やったことは、(1)文章の中には必ずといっていいほど、二項対立図式が潜んでいること、(2)ただし、論の前提となるようなことは文章に中身が入っておらず、インデクスがついているだけのことがあること(初学者はこれがつかめないのは当然、教員がきちんと解説してやる必要がある)、(3)複数の二項対立がいくつも出てくる時は、単純に並列になっているだけでなく、結びついて一つの主張をなしていたり、二次元・三次元の枠組みの軸になっている場合などがあること、などです。
 今日扱った部分だと、「educere/educare」「不在説/有在説」「(近代的)教育/産育」のような対が出てくるわけですが、今あげたすべての二項対立の前者、後者それぞれがむすびついていて、後者を重視する立場が貫かれている、という文章構造になっています。
 実はこういうことって、大学入試の時に勉強しているはずなんですよね。現代文の読み方、とかで。わたしは駿台で藤田修一氏から(1)のあたりを教わりました。まあ弁証法の応用ではあるんですが。駿台の校内模試とか全国模試とか、すべてこのやり方で基本は解けるので、一度修得すると高得点がとれてしまう、という便利なんだか、「模試だけ満点とってもしょうがないでしょう」(by 惣流アスカ・ラングレー)というか、そういうツールです。(笑)でもお役立ち度満点ではあります。