卒論発表会というもの

 毎年、4年生が卒業論文を書き終わり、最後の定期試験が終わった2月中・下旬に、わたしたちのゼミでは卒論発表会を行なうことにしています。で、終わったら追いコンへなだれる。
 基本的に3、4年生は全員参加で、かつここ数年は次年度のゼミ生(つまりその時点では2年生で、ゼミ選考を通過した学生)の希望者にも参加してもらっています。*1。そのほか、お世話になった人がくることもありますし、大学院生が聴きに来ることもあります。卒業生が来たこともあります。
 ゼミによっては、でかでかと張り紙して、完全公開で卒論発表会をやってるところもあります。たとえば同じ「学部」のIまにしさんのところとか。こういうのもいいよね。(Blogへのリンクはっとこ→http://plaza.rakuten.co.jp/kazuoimanishifm/
 また、「ご父母」に案内を出して卒論報告会にご招待するということをされている方もいらっしゃるようです。(id:hamano:20041109、id:dice-x:20041112経由)これはこれで一つの考えであると思います。もちろん親に聴かせるというよりは、公開にするということの方が本来の意図のようです。
 ただしわたしのゼミでは、ゼミとして親を呼ぶということはいたしません。将来的に「やれ」と誰かから言われてもやりません。なにゆえか。
 一つには、学生の中にはトランスジェンダートランスセクシュアルであるという学生もいて、大学の日常での「性別」と親・家族の前での「性別」が異なり、かつどちらかでカムアウトしていないという場合があったりするからです。これは、どんなゼミでもあり得ることとして考えています。学生が、自分の複数の生活の場で顔を使い分けることに十分な正当性があると考えられる場合には、本人の意向を尊重することになるでしょう。その時に「いつも保護者を呼んでるのに、今年は呼ばない」とか「特定の学生の保護者だけ呼ばない」というのは、やはりやめにしたい。周囲に対して不自然だし。(だいたいそのことをわたしに打ち明けていない場合も考えられますし。)ということで、ゼミとしては一律に「呼ばない」ということにします。
 もう一つには、「卒論で自分がやっていることを親・家族には知られたくない」という学生がいることも考えられるから。これはゼミや卒論のテーマによります。
 たとえば、自分自身がホモセクシュアルであることを大学で、あるいはゼミでカミングアウトしており、卒論も自分が当事者であるということを前提として書いているという場合。あるいは売買春の調査を「自分で働いてきました」という形でやっているような場合。これらについてゼミではかまわないけど、親とか夫などには知られたくない、ということは十分考えられますので、その場合は本人の意向を尊重したいと思います。その時に「いつも保護者を呼んでるのに(以下ほぼ*2同文)
 こういうことってわたしのゼミでは大いにあり得るので、あらかじめ心を決めておく必要があるな、と思ったのでここに書いているわけです。いや、今年そういう卒論があるとか、これまであったとか、そういうことではありません。念のため。
 どうしても子ども(or 孫、夫、妻、その他)の卒論報告が聴きたい」という希望があれば、個別に対応します。というか、その場合はまず本人に言ってくれ。それが筋だし。「呼ばない」だけで「来るな」と言ってるわけじゃないんで。
 学生が、「親に(or じーちゃん/ばーちゃんに、夫に、妻に、恋人に、子どもに、孫に、etc.)卒論報告聴いてほしい」という希望がある場合も同様。いやぜひ呼んでください、そういう時は。でもあらかじめ言っておいてね。あと、聴かせたいという相手の意志は尊重してくださいね。(いやだというのに無理やりはやめれ。)
 将来、「親はスポンサーなんだから、やれ」とか大学が言ってくるかもしれないけど、先手うって宣言しときます。(笑)

*1:あー、いやもちろん5年生以上も参加してますよ、はい。わたしも5年生やりました。んなこと気にしない。(笑)>該当者

*2:この場合はわたしに打ち明けていないということはないものと思っています。