特殊講義:リベラル・フェミニズムの現在

 『ワードマップ フェミニズム』(新曜社)の細谷論文を手がかりに、リベラル・フェミニズムの現在形について。
 細谷論文では、性別役割分業批判が代表例として取り上げられているが、もちろん「女性の権利は人権である」というスローガンに典型的に表現されているような、女性の権利を「特殊なもの」としてではなく「普遍的人権」の中に位置づけるようなアプローチも、もちろんリベラル・フェミニズムの今日的形態と呼べるだろう。さらには「ジェンダー主流化(gender mainstreaming)」*1なども、1995年以降のリベラル派の目標とされていると考えられる。
 もっとも、リベラリズムフェミニズムはそもそも緊張関係にある、というとらえかたもある。*2そういった側面は今回は充分に紹介できなかった。(というか、わたし自身消化不良だし。)いちおう参考文献リストを作って渡しておいたので、レポートで取り組みたい人はチャレンジしてほしいと思う。
 ところで今日は、前半部分のレポート提出期限。最終的に提出したのは10人。いまざっと目を通したけど、普通の授業よりは、レポートの水準は高い。やっぱりちゃんと調べて書かれているレポートはわかるものだ。とりあえず、みなさんお疲れさま。

*1:北京での第4回世界女性会議の行動綱領、パラグラフ202「女性の地位向上を促進するための機構の問題については、政府その他の機関は、決定がなされる前に女性および男性それぞれに与える影響の分析が行われるように、すべての政策および計画の中心にジェンダーの視点をすえる、積極的で目に見える政策を推進すべきである。」から発展したもので、あらゆる政策の計画・立案、実施、評価にジェンダー平等の視点を組み込んでいくことをめざす立場。日本の「男女共同参画社会基本法」にもこの考えは取り入れられている。

*2:江原編『フェミニズムリベラリズム』(勁草書房)収録の岡野八代論文や、山根純佳『産む産まないは女の権利か』(勁草書房)など。