セクシュアル・ハラスメント関連ニュース2件


 身体障害者や高齢者らから、セクハラを受けた経験のあるホームヘルパーが4割近くにも上ることが、山形県中山町の社会福祉士の調査で明らかになった。介護現場でセクハラが頻発していることは以前から指摘されていたが、「密室の出来事」とあって表面化しにくいのが実情だ。上司に相談しても、まともに取り合ってもらえず、泣き寝入りを強いられることが多いことも分かり、高齢化社会を支えるヘルパーたちの悩みが深刻になっている。
(中略)
 山形県中山町の特養ホームに勤務する社会福祉士荒木昭雄さん(45)は、東北福祉大通信制大学院修士論文をまとめるため昨年末、県内ヘルパーにアンケートを実施。1179人に配布し、404人から回答を得た。
 「セクハラされた経験がある」と答えたのは153人(37.9%)。自由記述では「利用者の息子に押し倒されそうになった」など、犯罪になりかねない事例の報告もあった。

 回答率が低いのが若干気になります。つまり「4割」と言い切れるかどうかというところで。それでも、ここで回答している数だけで十分多いと思われますが。
 ところで、記事中に

 アンケートでは「セクハラを拒否したら契約を打ち切られ、事務所での立場が悪くなった」などの記述も目立つ。荒木さんは「上司に相談した場合でも『すきがあるあなたが悪い』と言われ、個人で悩みを抱えざるを得ない」と解説する。

というくだりがありましたが、これはもう「介護者−介護利用者(依頼する家族も含む)」という関係だけでなく、使用者側からの被害もあるというべきでしょう。そこを見逃してはならないと思います。修士論文ではどういうふうに扱われているのでしょうか。あるいは性別の問題は。(いわゆる「ヘルパー」は女性がかなり多い。それに対して「上司」はどうか、という点なども。)

 もう一件。


 幼稚園から高校までの教育実習を受けた大学生約5600人のうち、10%の542人がセクハラ被害に遭ったり見聞きしたりしたことが21日、内海崎貴子・川村学園女子大助教授らの全国調査で分かった。セクハラをしたのは校長を含む教員が61%を占め、生徒からの被害もあった。
(中略)
 昨年6−10月に、国公私立大74校の担当者を通じて約1万人に調査表を配布。5666人(女子3528人、男子2093人、不明45人)が回答した。

 こういう調査をしっかりやってくださると助かります。
 以前わたしがいる学部の学生から、「実習先で担当以外の教員から宴会でセクハラを受けた。」という訴えを受けたことがあります。実習担当の教員や教職課程委員会に報告し、大学としてはどう考えるのか(教育学部があるので)ということを確認するために当時の教育学部長(現学長)に相談したら。
 「それは附属じゃないですね。高校ですね。」
 最初よく意味が分からなかったのですが、教育学部では附属学校へ実習に行く、附属学校で起こったことなら対応を考えなければならないが、その他の学校でのことは「責任がない」ので対応できない(しない)、というようなことを言われたようでした。(いや、わたしの誤解かも知れませんが。)
 ……そーですか。いやもう、なんだか先を続ける気が失せたですよ。

 なお記事の続きの部分には、

 内海崎助教授は「教員の人権感覚の希薄さから立場の弱い学生へのセクハラが起きる。そういう土壌にある学校では、生徒からのセクハラも起きやすい」と話している。

と書いてありました。上記の会話がなされたのはちょうど大学でセクシュアル・ハラスメント事件があったときで、「セクシュアル・ハラスメントを大学が黙認したり、処分を回避することは、学生が教職についた時に生徒・児童に対してセクシュアル・ハラスメントを行うことを容認することにつながりかねない。県内(だけではありませんが)の学校教育現場に対する影響力の大きさを大学は自覚するべきである。」という内容の意見書を書いた*1のですが、あまり教育学部の執行部の方には真面目に受けとめられなかったようです。(処分はありましたけどね。)

*1:なんて書いたっけと思ってさっきファイルを開こうとしたら、壊れてしまったのか開けませんでした。(泣)ここに書いた社会的影響力の大きさの話と、今回訴えた学生だけが被害者とは考えられないので、過去にさかのぼった独自の調査が必要ではないか、という具申だったような。