『女大学集』(東洋文庫)
- 作者: 石川松太郎
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1977/02/01
- メディア: 単行本
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どうも「女大学」というタイトルの付いたものを集めたものらしい。貝原益軒とかはこの際どうでもいいので、高田義甫『女黌必読 女訓(一名 一新女大学)』(1874年)だけ読むことにする。これから。
……読み終わった。(短かった。)
「夫に従え」みたいな「婦徳」を説くと同時に、家事・育児などについてのきわめて簡素な指示の羅列。元は和綴じ本です。子どもの養育はすべて母親の責任というところが、近世とかなり違うところでしょうか(近世は男児については男親の役割がそれなりにある)。また、身体的養育と基本的なしつけが中心。これも近代の育児書の特徴と一致。
欧米近代の知識と日本近世の道徳が混ざっているんですね(イザベラ・ビートンとか出てきますよorz)。しかし、明治7年ですか……。
■よけいなこと
ところで、19世紀半ばのイングランドで家政本を書いたビートンさん、本のタイトルはThe Book of Household Managementなんです。なお、最近知ったのですが、この本はWebで読めます。(ダウンロードもできます。)
……とんでもない世の中になったものね。orz
それはともかく、managementですよ、そこの人!
空間をインチきざみ・フィートきざみで細分化し、「主婦一人」の作業空間をコーディネートしようとしたのは、同じ頃のアメリカのビーチャーさんとストウさん。テーラー主義はまず台所から始まったんでしょうか。まあ台所という私的空間の話ですので、工場のような強制力はないのですが。
この姉妹の本(Beecher, C.E., and Stowe, H.B., American Woman's Home or Principles of Domestic Science, New York, J.B. Ford & Co.,1870.) も、Webから落とせます。いいのか。(いいよな。)
ちなみに、今日知りました。orz
この本は明治14年に文部省から日本語訳が刊行されています。全2巻。すごいです。お二人は牧師の家に生まれて、ばりばりのクリスチャンなのですが(妹のハリエット・ビーチャー・ストウが書いた『アンクル・トムの小屋』を読むと、よくわかりますよね)、そういったところもていねいに訳しているようです。読んだ人はわかったのでしょうか、文化的背景。
19世紀に"management"という概念はどこで・どういうふうに使われていたのか。
ビーチャー&ストウのような空間の再編(フーコーの『監獄の誕生』にも出てきますが)の発想は、実は19世紀半ば〜後半の流行だったのか。ここらへんは、D・ハイデンの『家事大革命』(勁草書房)を読むと、そうじゃないかと疑いたくなります。
誰か教えてえらいひと。