数値化可能なものとしてのゲーム

 ジェスパー・ジュールの論文の紹介。

氏はゲームの構成要素を「決定されたルール」「可変かつ数値化可能な結果」「結果に対する価値の付与」「プレイヤの努力」「プレイヤと結果の繋がり」「対価交渉の可能な結末」の六つに集約します。

 最後の要素がわかりにくい。"Negotiable consequences"が原文の表現なのだが。なんかうまい言い方はないか。(これについては、下で示したエントリでkenjiitoさんのコメントがあり。)

■論文

 日本語訳は以下に。(上記hally氏の訳。)


 関連エントリ。

■若干のコメント

 「シムシティ」やテーブルトークRPGを、ゲームではなくボーダーラインケースとして切ってしまうのは、すでに批判があるように、たしかにいただけない。議論を"gameness"(ゲーム性)に限定して、実際の"game"とは区別した方がよいのではないだろうか。
 TRPGにはルールがあり、シナリオがあり、その2つにもとづいたプレイがある(さらに外界がある)。ルールは数値化可能だし、シナリオも一部そうだが、実際のシナリオやプレイでは数値化できない部分が大部分を占めている。(リプレイを読めば一目瞭然だ。)しかしそれでもTRPGは(ジャンルとしては)「ゲーム」なのだ。
 やはり彼が語っているのは、"game"ではなくて"gameness"なのではないだろうか。そこを区別すれば、納得がいくことが多いように思う。

■ひとりごと

 たしかにRPGをコンピュータにのせるには、魔法の効果などは数値化しなければならない。魔法がもっている本来の力であるところの「幻想性」は、そこではぎとられる。だからコンピュータ・ゲームのシステムには「幻想」が入りこむ余地はない。
 では、ファンタジーRPGの「幻想性」はどこで、いかにして生じるのか。
 ……というのが、お誕生日にもらった次のお仕事のテーマになりそうです。