読了・『魔剣伝説』
- 作者: P.フィッシャー,林田康一
- 出版社/メーカー: 社会思想社
- 発売日: 1988/10
- メディア: 文庫
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現代教養文庫A&Fシリーズ。ハイスクール在学中に書いたというだけあって、まだまだ未熟な作品。主人公たちのほか、王や賢者、父親役、マジックアイテム(しゃべる剣)などがそろって登場するが、書き込みが足りなくて、設定や人物の魅力が活かせていない。また主人公グループは典型的な紅一点、姿を見せないが魔女の役割はやはり誘惑、と、この点でも「伝統的」。
続編(『魔女復活』『魔法城塞』)もある。
いろいろ現代教養文庫収録のファンタジーを読んできたが、佳篇は多いものの、ハヤカワ文庫FTのように大きく売れる要素を持った作品(特にシリーズもの)がなかったように思う。FTも部数はかなり少なかったそうだが、名作をきちんとそろえているし、80年代後半にはヒット作を次々と出している。タニス・リーにもコアなファンがいたようだ。同時期の刊行の割りには、目立っていないのが教養文庫であるが、ラインナップにいささか問題があったのかも(あるいは版権取得の交渉力に難があったか)。それでも社会思想社の本の中では、ゲームブックをはじめとするファンタジー関連の書籍は売れていた方ではないかと思う。
『アレール姫の指環』や『女王の矢』などはぜひ(他社からとか電子ブックでとかでいいので)復刊してほしい。どうですか、早川書房さん?(笑)