コース入門科目・J.スコット「女性史について」

 今週と来週とは、J.スコットの女性史関連の文章がテキスト。
 今週は『ジェンダー歴史学』(荻野美穂訳、平凡社)に収録されている「女性史について」でした。

ジェンダーと歴史学 (平凡社ライブラリー)

ジェンダーと歴史学 (平凡社ライブラリー)

 この論文は5つ、ないしは6つのパートからできているので、まず「どこで区切ればいいか」というところを意識して読んでいく必要があります。だらだらと部分部分を要約していくのではなくて、まとまりに分けていく(序論・本論・結論とか)、そのまとまりの中にまたいくつかの小さなまとまりがある、さらにそれら相互の関係はどうなっているのか(並列なのか、正・反・合なのか、時間を追う記述なのか、など)というような、文章の論理構成に注目させながら読ませることに力点を置いたゼミ運営を今日はやってみました。
 レポータがしっかり6つに区切って報告をしてくれたので、説明が楽でした。最初のパートは序論(エピグラフ含む)。第2パートから第4パートまでが女性史研究の各タイプの整理、第5パートが本論のまとめと概念の整理、第6パートが全体のまとめ、ということになります。
 問題は第2パートから第4パートまでが、列挙なのかあるいはなにか論理的な展開があるのかということと、第2パートの中にいろいろあがっている各アプローチがどういう順番で配列されているのかということ、このあたりでしょうか。
 あと、以前やったことの応用のようになりますが、第1パートのところで提出される問題「歴史に補充する/歴史を書き直す」という二項対立が、その後の議論の中でどのように現われてくるか、というようなところ。
 ここまで論文を読んで報告した3人の中ではいちばんわかりやすいレジュメだったので、その点は評価。(もっとも、比較的短くてかつ区切る場所がわかりやすいので、レジュメがつくりやすい、ということはありますが。)