私立高校男女のジェンダー意識


 女子校の高校生は男性には経済力を重視し、共学女子は頼りがいを重んじる−−。大阪府私立学校人権教育研究会の川西寿美子・明浄学院高教諭が府内の高校の男女7433人にジェンダー(社会的性差)意識調査をしたところ、こんな結果が出た。また、学校のタイプを問わず、「男は仕事、女は家庭」と考える男子が女子の2倍以上いることも分かった。
(中略)
 学校のタイプ別では、「男性に必要なもの」(複数回答)の質問に、女子校は、頼りがい46・7%▽思いやり39・8%▽経済力33・8%−−の順に多く、経済力が3位に入った。これに対し、共学女子は、頼りがい52・5%▽思いやり44・1%▽自分の意見を持つ34・6%−−で、経済力は26・1%で6位だった。
 一方、「女性に必要なもの」(同)は、男子校の回答は、思いやり52・0%▽優しさ46・8%▽明るさ42・2%−−で、共学男子も同じ順に。総じて、女子は男性に社会的な要素を望み、男子は女性に個人的な要素を求める傾向が浮かんだ。
 川西教諭は「女子校は、固定的な男女二分法意識が強いが、たくましさもある。男子校は『男らしくしなければ』との気持ちが強い。共学女子は最も自立心が強く、共学男子は最もジェンダー・バイアス(偏向)が少ない」と分析している。【村瀬達男】

 結果はともかく、若干気になるのはやはり調査のやり方で、女子校11校、男子校4校、共学校5校の私立20校の女子3956人、男子3477人が対象になっているのですが、なんで女子校の数が飛び抜けて多いのだろうか、と。理由があるのかも知れません。府内のそれぞれの割合からこうした、とか。それだけで「間違ってる」とは思いませんので、念のため。
 学校に通っている生徒たちの成績とかもですね。成績がよくて、一流と呼ばれるような大学への進学を考えていて、将来キャリアを積んでいこうと思っているような子が多い学校の生徒(つまり自力での経済的自立を射程に入れられる生徒)と、なかなかそうはいかないかなと肌で感じている子が多い学校の生徒とでは、同じ女子校の生徒でも志向が違うかも知れません。また、いわゆる「できる子」は「正解」*1を答えやすい(男女とも)ということも言われているようです。
 当然家庭環境なども影響しますが、調査では世帯の年収や親職業などは訊いていないんでしょうか。いや、さすがに年収は調べてないか。でも、私立高校ですから、それなりの収入の裏づけがあって通ってるのでしょうけど。
 ということで、こうした調査の結果から、「だから男子校は」とか「だから共学は」といった一般的な議論へ一足飛びにつなげていくことはやや飛躍がありすぎるわけで、調査というものはムズカシイ……てのが結論になると調査する人がいなくなっちゃいますが。(笑)まあ、結果を読む側が、そうした点についてきちんと踏まえて意味を読みとるべきだ、ということになるんでしょう。
 それにしても、「「男は仕事、女は家庭」の設問に賛成した男子は22・4%で、女子は9・1%にとどまる半面、「男女とも仕事と家庭」と答えた女子は75・4%で、男子は55・2%だった」っつーのはちょっと男女で差がありすぎな結果。

*1:言い換えると「建前」。